2026/08/28 20:00
『ソードアート・オンライン』をはじめ人気アニメの劇伴を数多く担当する作曲家・梶浦由記が手がけるライブ【Yuki Kajiura LIVE】。劇伴曲やソロ曲、提供曲、そしてソロプロジェクトのFictionJunctionの楽曲で構成されたライブツアーの第22弾【Yuki Kajiura LIVE vol.#22 ~precious pieces~】が開催された。ツアータイトルには「一つひとつの曲と音を大切に奏で、その積み重ねでpreciousな一夜をお届けする」という意味が込められている。みんなで音楽を分かち合う喜びにあふれたステージとなった、8月8日の埼玉・大宮ソニックシティ大ホールでの模様をレポートする。
梶浦が学生時代に作ったというアカペラ曲「silent moon」でスタートする趣向で幕が上がった。ゲストボーカルのYUUKAの甘く凜とした歌声。美しくも複雑に絡み合う、レギュラーボーカリスト5人(KAORI、YURIKO KAIDA、Joelle、LINO LEIA、EMIKO)によるハーモニー。絶妙に調和した6人の歌声に、会場から割れんばかりの拍手が送られた。
すぐさまオーバーチュアーと共に本編がスタート。フルートをフィーチャーしたインスト曲「Crush」から「Pandora hearts expanded」、そして、KAORIがメインボーカルを務める「everytime you kissed me」へと、アニメ『PandoraHearts』の曲が続き、その後も次々と楽曲が披露される。
そして見どころの一つ、YUUKAをフィーチャーした中盤ブロックに。『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の挿入歌「焔の扉」では、パーカッシブなサウンドに合わせて、身振り手振りを交えながら歌う。梶浦の表現力豊かなピアノと、エモーショナルなボーカルが、会場を切ないムードで包み込んだ「六月は君の永遠」。そしてFictionJunction YUUKAのデビュー曲で『機動戦士ガンダムSEED』の挿入歌として根強い人気の「暁の車」は、1番を梶浦のピアノとYUUKAの歌声のみで聴かせるアレンジで観客を魅了した。
MCでは“precious pieces” であるメンバーが、日替わりのお題に答えるトークでファンを楽しませた。8月8日は“プチプチの日”とのことで、「やり始めたら時間を忘れて止まらないもの」が、この日のお題。YUUKAは「夜中のドラマ鑑賞」と回答。特に好きなのは韓国ドラマ『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』で、「すでに5回観て、曲だけで泣ける!」とのこと。LINO LEIAは「本を読むことと寝ること」。セキュリティアラームが鳴っても全く起きなかったことが、梶浦に暴露される一幕も。EMIKOは「お絵描きと、ゲーム(『Call of Duty』)」で、「ゲームのイメージなかったから意外!」と梶浦。KAORIは「料理と掃除がリセットの時間になっている」。YURIKO KAIDAは「昨日はM!LKさん、その前はぺえさん」。そしてJoelleは「鳥さんたちと遊んでいる時間!」とのこと。
個性あふれる回答に、ときには私見を交えながら補足し、ときにはつっこんだりしながら、各自を深掘りするトークが止まらなかった梶浦。肝心の梶浦は「私は語り始めると止まらないので割愛」とのことだったが、梶浦の止まらないものはおしゃべりに違いない!と誰もが思ったことだろう。
ライブに話を戻すと、公開前の作品に提供した楽曲をいち早くライブで披露するという、ファンにとってうれしい楽曲も多数あった。一つはTVアニメ『魔法騎士レイアース』の劇伴曲「レイアースのテーマ」。壮大なサウンドと力が沸いてくるような歌声に、10月の放送に期待が高まった。8月28日より公開の『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉』の主題歌「彼方」と、タイトル未定の劇伴曲「M6(仮称)」も披露された。「彼方」は、壮大なサウンドと胸を熱くさせるメロディのコントラストが秀逸。「M6」は、無国籍なビートとコーラス、エレキギターのソロなど聴き応えたっぷり。どちらも一聴して『まどか☆マギカ』楽曲だと分かるエッセンスが満載され、まどか達を待ち受ける壮絶な戦いと、その先で出会う感動を予感させた。
そしてライブ終盤戦は、アップテンポのナンバーを次々と披露し、観客も総立ちとなって熱狂した。FictionJunction feat. EMIKOとして配信リリースした「black rose」では、アイリッシュのフィドルを彷彿とさせるバイオリンとオリエンタルなリズムに誘われ、観客は立ち上がってクラップ。昨年から参加したEMIKOの存在が、【Yuki Kajiura LIVE】に新しい風を吹かせていた。そして本編のラストは、梶浦のライブで定番の曲、アニメ『アクエリアンエイジ』の「zodiacal sign」。巧みなコーラスによって組み上げられたサビメロでは、ボーカル5人と一緒に手振りを繰り出した梶浦。観客も手振りを合わせて会場が一体に。各楽器のソロパートでも沸かせ、客席からは手拍子という掛け声が掛かり、最高潮で本編が締めくくられた。
アンコールでは、梶浦の音楽人生がそのまま歌詞に込められた壮大なロックバラード「Parade」をはじめ、『劇場版ソードアート・オンライン-オーディナル・スケール』で、神田沙也加がユナとして歌った「longing」などを披露し、「神田沙也加さんとご縁をいただけたことはうれしかった」と、故人を偲ぶような場面もあった。
そして、ラストナンバー「sing a song」を演奏する前の梶浦のMCは、「みんなではなく、あなた」と、観客一人ひとりに呼びかけるようにして、「あなたが今日ここにいなければ、このライブはできなかった。ここにいてくださって、生まれてきてくれて、本当にありがとうございます」とコメント。ゆったりとしたリズム、シンプルで普遍的なメロディ。そして〈音楽が君の胸を激しく揺らしたときに 僕らはみんな繋がっている〉という歌詞が、胸に響いた。一人ひとりが、音楽で一つにつながる瞬間を幾度となく感じたライブだった。
Text by 榑林史章
Photos by Shinsuke Irihi
◎公演情報
― 海外公演 ―
【Yuki Kajiura LIVE vol.#22 ~precious pieces~ SPECIAL SETLIST in Asia】
2026年10月31日(土)台北
2026年11月15日(日)香港
2026年11月22日(日)ソウル
2026年11月27日(金)シンガポール
【Yuki Kajiura LIVE vol.#23】
2027年8月21日(土)、22日(日)埼玉・大宮ソニックシティ大ホール
2027年8月28日(土)、29日(日)愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
2027年9月11日(土)、12日(日)大阪・東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
2027年9月19日(日)、20日(月・祝)東京・昭和女子大学人見記念
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